日本および世界のさまざまな分野で活躍するこだま寮(五ヶ瀬中等教育学校寮)卒寮生の進学とキャリア形成の経験を現寮生に届ける月刊インタビュー誌

#005長谷川 映見

2018.05

長谷川 映見

2012年卒

フリーランスグラフィックデザイナー/学生

【略歴】
1994年北方町(現在は延岡市の一部)生まれ。町づくりに関するデザインに興味を持ち、京都造形芸術大学情報デザイン学科に入学。在学時に様々なプロジェクトに関わるうち海外に興味を持ち、自分で留学プランを組み大学卒業後に渡米しロサンゼルスに留学中。来年からは福岡でグラフィックデザイナーとして働くために準備中。Twitter/instagram @emislikes

グラフィックデザイナーとして、アメリカ・ロサンゼルスに飛び出した長谷川さん。デザイナーのグローバルな働き方と、デザイナーの道に進んだ五ヶ瀬時代の想いを語ってもらいました!

|今の活動|ロサンゼルスで、今いる状況を生かしたいろいろな活動を

英語の勉強をしつつ、アフリカ系アメリカ人の方々を中心に支援しているロサンゼルス(LA)の出版社で、ボランティアデザイナーとしてお手伝いしたり、こちらの大学でグラフィックデザインやブランディングについて学んだりしています。他にもLAでのPV撮影のキャスティングやスケジュールを組んだり、何かプロジェクトなどをしたい方のお手伝いをしたりと、状況を生かしていろいろなことをしていますね。来年からは日本で働きたいなと思っているので、最近は就職活動も同時にしつつ、フリーランスのデザイナーという働き方も視野に入れています。少し前までもフリーランスのデザイナーとして、オンラインで仕事を請け負っていました。今はネットでやり取りができるので、海外にいても日本の企業の方やデザイナーさんと仕事ができて便利です。

|これまでの道のり|町づくりへの興味からデザイナーへの道、そして世界へ

五ヶ瀬で町づくりに興味を持ち、デザイナーの方々が町づくりに大きく関わっていることを知りました。デザイナーってかっこいいものつくればいいのかなって思うかもしれませんが、実は何か困ってることや問題を解決する、またはもっと魅力が広まるようにする仕事なんです。京都造形時代は大学の公式パンフレットをつくったり、高知県の砂浜美術館のボランティアスタッフをしたり、大阪でフリーペーパー製作をしたり…などなどサークルやバイトなんてする暇がないくらい、たくさんのことに自分から飛び込んできました。

充実してるなーと思っていた大学生活ですが、卒業前に海外の人と仲良くなり、あれ?もしかして井の中の蛙状態?と思うことが増え、世界を知りたい!英語で何か出来るようになりたい!!と英語を猛勉強して、就職ではなく留学を選びました。もっと早く気づいておけば…と思いましたが、多種多様な価値観や視点のなかで暮らすという経験は想像以上に私の人生を変えたので、選択に後悔はしていません。中高では英語がクラス最下位で、毎朝昼と職員室で英語の補習をし、それでもテストはギリギリ。そんな私でも、今では海外の出版社に自分でアポをとり、ボランティアデザイナーとしてお手伝いするほどになりました。英語だけでなく学校で習うことってテストのためのものじゃないし、自分に合った学習方法を知ることや、習った(習わされたと感じる)ことを「どう使っていくのか」っていうことの方が大事だったのかもと最近思います。

LAの学校で

|ワーク&ライフ|アメリカの多文化環境を楽しむ

学校で英語の勉強をして、午後は話題の場所やカフェ、イベントなどに行って調査しつつ楽しんでいるか、家にこもってひたすらデザインをしているかのどちらかです。休日は大学のクラスがあるので、その後は韓国人のルームメイトと出かけることが多いです。時間があるときはなるべく遠出して、いろいろな都市を見てまわっています。本当に多種多様な国の人が集まっているので、本格的で多国籍なご飯や文化に触れることができてうれしいです。

|五ヶ瀬での経験|過疎の重さを考える

今でも忘れられないフォレストピア学習があります。諸塚村だったと思うのですが、過疎地域のおばあちゃんに話を聞き、その日の寮に帰るバスで過疎地域”という言葉の重さがのしかかってきて、こっそり泣いてしまったこと。いつか、思い出いっぱいの自分の集落が消えてしまう、宮崎のほとんどの村や町は、私が大人になる頃には誰にも気づかれず消えているのかもしれない。そう考えると悲しくて、なんだか悔しくて。そして、その時に村の方から言われた「町おこしなんて言葉、使わないでほしい」という言葉の意味をずっと考えていました。

私は、五ヶ瀬でいろいろなことについて考える時間があったこと、誰かと話し合うことができたことは本当に一生の宝物だと思っています。寮での人間関係とか夜食がどうとかのことから、過疎化や世界のいろいろな問題について、自分で考えようとすることや人と話してみようとすることってめっちゃ貴重な経験です。だって、自分で考えられる中高生や大学生なんて、ほんのちょっとしかいないから。なんとなーく流されるんじゃなくて自分で考えてみる、他の人を尊重して話や意見を聞く、チャレンジしてみる、五ヶ瀬でこの3つを学んだ気がします。

|後輩に一言|きっと戻りたくなる時がくる

五ヶ瀬を卒業して、山の中から世の中に飛び込んで、今までと全く違う世界に圧倒されてしまうかもしれない。通じない宮崎弁、SNSの世界や人でごった返す街、お酒やいろいろなことを言ってくる周りの人たちに疲れちゃうかもしれない。そんな時は、五ヶ瀬での日々を思い出してみてください。6年間一緒に暮らした仲間に連絡したり、たまには五ヶ瀬に帰ってみたり。

それから、こう生きなきゃってルールなんてないです。せっかくこの時代に生まれたのに、なんとなく行ける大学に入って、なんとなく卒業してって本当にもったいないなーと思います。五ヶ瀬にはいろいろなロールモデルの先輩たちがいるし、日本にも世界にもいろいろな人がいます。いくつになってもチャンスはあるけど、今の時期がチャンスや選択肢はもっといっっっっぱいあります。視野と懐を広くもって、考えることとャレンジすることをどうか続けてみてください。そして、今の五ヶ瀬での生活を満喫してください。きっと戻りたくなる時がくるから笑。何か気になることあれば、気軽に声かけてください〜!

影響を受けた本
愛しあおう。旅にでよう。 / 高橋 歩どちらかというとおとなしくて周りの意見に合わせる子だった私が、この本のシンプルで力強い言葉に背中を押されて、ちょっとずつチャレンジしてみるようになりました。
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