日本および世界のさまざまな分野で活躍するこだま寮(五ヶ瀬中等教育学校寮)卒寮生の進学とキャリア形成の経験を現寮生に届ける月刊インタビュー誌

#004川野 洋平

2018.04

川野 洋平

1998年卒

株式会社エスエムエス 人事・組織コンサルティング事業部 部長

【略歴】
門川町出身。早稲田大学商学部卒業。株式会社ノエビアホールティングス入社エリアマネージャーを経て、株式会社日本M&Aセンター入社。経営コンサルタントとして従事。その後、株式会社エスエムエスへ転職。現在主に病院を中心とした医療機関向けに人事・組織コンサルティング事業責任者として従事。

「五ヶ瀬高等学校」時代に3年間を学びの森ですごした川野さん。現在はビジネスの最前線に立って日本中を飛び回りながら、病院経営にもかかわりつつ、社会的な価値を生み出すために活躍しています。日々自分をみがくことの大切さや、学校ができたばかりのころの経験を語ってもらいました!

|今のお仕事|医療マネジメントの改革とビジネス戦略づくり

高齢社会化が進むにしたがって、医療の世界では人手不足が問題になっています。この大きな課題に取り組むことで、高齢者もいきいきと生活できるような社会の実現を目指しています。具体的には主に病院を対象にした3つの事業に、責任者としてたずさわっています。ひとつは看護学生の就職マッチングで、必要なところに人材がいくようなサポートをしています。もうひとつは、病院に対する経営や人事の改革支援です。この事業では、たとえば結婚や出産でやめてしまった看護師が病院の現場にもどってきて長く働けるような給料のしくみの提案や、医療関係者の採用支援、病院経営のコンサルティングなどを行っています。このように、病院がうまく運営できるような手助けをしています。最後に3つ目です。50名以上従業員がいるすべての会社に法で義務化されているストレスチェックの代行業務を医療機関向けに提供する事業です。

また会社の中では、会社全体がどうやってビジネスをしていくかという戦略と予算を考えています。このような方針は会社運営の9割を決めてしまうような重要なものです。計画をつくるときに、自分からまったく新しい事業を提案するということもできます。それで成功すればその分の見返りがありますし、その一方で成果が出ないとアウトで、続けることができません。会社の経営者に近いスタイルだといえるでしょう。

|これまでの道のり|社会に価値のある仕事をめざして

今の会社が3社目になります。それまでは、化粧品をお店におろす営業や、企業の経営支援などに9年間たずさわってきました。キャリアを見つめなおすことになったのは、東日本大震災がきっかけでした。被災地である南相馬をおとずれて、より幅広く社会に対して価値のある仕事がしたいという思いをもったのです。また、将来的に自分でビジネスをおこしたいという思いもあり、そのためのスキルをみがく必要性を感じました。今の会社は事業内容の社会的価値のほか、スタートアップ(新興企業)に近いところがあるため、自分に合っていると思いました。

これまで転職して環境がかわってきましたが、その変化のなかでも「チームで力を出す」「人を動かす」ということが、自分が生かすことができる強みだと考えてきました。キャリアを考えるうえで、自分に何ができるかということが重要だと思います。

|ワーク&ライフ|よいアウトプットのために常にインプットを

家族の幸せは大事にしていますが、仕事と私生活の区別はあまり考えていません。ビジネスにかかわるうえで、常に勉強するようにしています。特に、本を読んでインプットをすることを習慣づけています。移動が多いので、その時間などで読書しています。読書以外にも、人と会うこと、特に違う世界で活躍する人と会うこともインプットには効果的です。なぜインプットが大事かというと、それがないといいアウトプットができなくなってしまうからです。勉強することをくせにして、教養やものごとの原理原則を身につけておくことが、いずれ生きてくるときがきます。たとえば、経営者と向かい合ったときには考える力が試されます。実際に自分がそういう場面に立ったときに、理論と現実を知っておく必要性を感じたのです。

働き方として今は大阪に家がありますが、週のほとんどは東西とわず全国各地を飛び回っています。なので、ほとんどの時間はホテル暮らしです。ただ、各地のビジネスの状況や現場のマネジメントを肌感覚でじかに知ることができるのは貴重です。

|五ヶ瀬での経験|五ヶ瀬での経験まだできていないところから「みんなでつくる」

私が五ヶ瀬に来たときは、まだ学校の整備が終わっていない時期でした。なので、いろんなものを「みんなでつくる」しかありませんでした。たとえば、フォレ祭も予算はあっても使い方のルールがない中で、「なんのためにやるか?」というところから考えていきました。そのなかで、体育の部のトロフィーを自分たちで材料を買い集めてつくったりもしました。

また、五ヶ瀬での時間で「夢を語る」ということが大事だったと思います。夢を語るというのは、会社の経営者にも通じることです。他には、体調が悪いときに、親ではなく自分でどうするべきか判断するというのも、よい経験だと思います。勉強時間の使い方にしてもそうです。プライベートでのいざこざもありました。まわりの仲間、あるいは組織にしっかりと向き合うというのも、社会生活に生きてきます。

|後輩に一言|他にいないような人になるための技術

これまで転職をしてきた経験から、他にいないような人であること、そうであるためのいろいろな技術を持っていることが大事だと感じました。具体的には、複数の専門知識、人とやりとりする力、抽象化する(ひとつひとつのものから全体像をえがき出す)力がベースになります。そして、それに加えてGRIT(グリット)とよばれるやり抜く力も大事になってきます。どのような場所でも、こういった力が必要になってくると思います。

影響を受けた本
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イノベーションのジレンマー技術革新が巨大企業を滅ぼすとき / クレイトン・クリステンセンビジネス感度を高めるのに必読の書。何度も見返すために、ずっと手もとに置いています。
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